龍馬プロジェクト 四国ブロック徳島研修・キャラバン報告(日程:2016.2.5) 文責:井下泰憲
2月5日は龍馬プロジェクト四国ブロック徳島研修とキャラバンが行なわました。
一カ所目の視察先は「葉っぱビジネス」で有名な上勝町へ
株式会社いろどり(http://www.irodori.co.jp)担当様より、葉っぱビジネスの取り組みとその仕組みを
教わりました。 料亭などで料理の飾りに使われる葉っぱ、その季節に合わせた料理に花を添えてくれます。
その葉っぱ、元々は、料亭で弟子が庭や山に採りに行っていたそうで、市場というもの自体、ないに等しい
ものでした。この元々は0円市場、今では衛生的な問題や環境の変化により3億円以上の市場規模となってい
るそうです。 そしてこの上勝町は年間3億円を売り上げており、この葉っぱビジネス市場規模3億円とぴっ
たり一致します。それにより他の地域が真似しても共倒れする可能性があり、市場規模の8割以上を上勝町が
占めているそうです。
この「葉っぱ」商品としても優秀で、葉っぱは軽い為、輸送コストにメリットがあったり、暦に応じて一年中
売るものがあるなど多種・少量生産が基本となっています。
そして一番の魅力はこの上勝独自のシステム。
やる気によって稼げるシステムは田舎の高齢者に競争原理を植え付けるなど20年かけて地域の人の意識を
変えてきました。
上勝を舞台にした映画「人生、いろどり」の中で、おばあちゃんたちがタブレットを使ってビジネスする
姿が印象的に描かれています。 仕事を楽しんでする事で、医療費が全国平均よりも10万円も安いとい
うプラス効果を生んでいるそうです。
しかしそんな、上勝にも課題があります。それは後継者の確保です。
全国的に有名なこの地域もまた少子高齢化に襲われ、人口減少を止める事は出来ないのです。
その為、インターンシップなど後継者作りに力を入れていますが、なかなかうまくいっていないのが現状の様です。
午後からは神山町へ
NPO法人グリーンバレー(http://www.in-kamiyama.jp/gv)様に案内して頂き、神山町の取り組みについて
学ばせて頂きました。 まず神山町といえば全国からサテライトオフィスを呼び、過疎地域にありながら
人口が増えるという全国的にも異例な場所として注目されています。
グリーンバレーの活動はほぼ行政と関わらずに運営しています。
そこからも補助金がなくてもまわる仕組みを作らなければ、いつまで経っても、どん底から抜け出せないと
いう事を教えてくれます。
まず最初に向かったのは株式会社プラットイーズ(本社東京都渋谷区)、この会社はテレビの番組情報などを
放送局に配信する事業をおこなっており、2011年の震災の教訓から、バックアップデータを保管する拠点を探
していたところ、この神山町に辿り着いたという事で、古民家を5,000万円かけて改装したオフィスは、外観は
古民家ながら内装は最先端という、山間部にあるとは思えない光景をつくっています。
古民家に5,000万円と聞くと高いと思われるかも知れませんが、東京で月に何十万、何百万も家賃を払うことを
考えると果たして高いでしょうか?豊かな自然と、広大な敷地、またゆっくり流れる時間は東京ではいくらお金
を出しても買えません。 この事は、これから地方で企業誘致をする際に、大切な売り文句になります。
田舎の価値観で誘致するのではなく、都会の価値観で誘致する。
発想を転換しないと何も変わりません。
このオフィス、20数名の雇用があり、その半数以上が地元雇用という成果を上げています。
次に向かったのは、縫製工場跡を改装し、オフィスに変えて行っている場所でした。
ここには小さな事務所をいくつか作るらしく、入る会社や経営者さんは「神山塾」というグリーンバレーが行っ
ている人材育成制度の卒業生がたくさんいるという事でした。 この塾、6年間で77名の卒業生を輩出し、
うち半分が神山に移住し、なんとカップルも10組誕生するという、思いもしなかった婚活効果を生んでいたのです。
この神山に残った約40人たちの中には、クリエイターやパン屋さんなど様々いるそうですが、こういった新しい
風が町を元気にしている。そして町の新しいコミュニケーションや経済の循環を作っているそうです。
これからの神山町ですが、現状、使える空家はもう無いそうで、住宅やオフィス、宿などを新しく建築する計画
らしく、本当に驚きでした。
「そんなんやって意味あるの?」「絶対失敗するよ」「やめとき」、新しい事に挑戦する時、必ずこんな言葉を
吐くアイデアキラーが登場します。 己の狭い視野と見識なさを傲慢に押付けてくる人間の事です。
これからどんどん挑戦する若い人たちをこういった無責任な言葉から守っていくのも我々責任世代の役割かもし
れません。
さて、この上勝と神山にて思った事ですが、これからの地方に必要なのは、お金が回る強い経済の仕組みと、
「やってみたらいいんじゃない!」そんな失敗を恐れず挑戦して行く人材だと思います。
そして政治家は、この仕組み作りと、チャレンジしている人たちをしっかりサポートできる知識を行動力を身に
着けなければいけないという事でした。
補足ですが、上勝のタブレットやPCを使った葉っぱビジネス、神山のICTを活用したサテライトオフィスの誘致など、
なぜこんなにネット環境が良いのかというと、徳島県は地上アナログ放送終了時に、テレビが二チャンネルしか映ら
なくなるという事態に見舞われました。 その際、光ファイバーケーブルを導入し、県内全域への地上デジタル放送
配信が可能となりました。
そこで生まれたのは、おそらく世界一と言っても良い普及率の光ファイバーケーブル網です。
徳島では山の頂上にまで光ファイバーケーブルが通っています。
(※問題点として、有線ケーブルの為、災害などケーブル切断があればテレビや電話、ネットがすべて使えなくなる
場合がある) 両方ともこの環境を上手く利用しています。
研修後のキャラバンには地元徳島より山西県議や玉野徳島市議の他、自民党青年局、地元企業経営者の方が
参加して下さり、龍馬プロジェクトの取り組みと神谷会長の熱いお話を聞いて頂きました。
最後に四国は坂本龍馬の生まれた地でもあり、また空海上人にて結界の張られた地域でもあります。
この結界の中に入る事は、もしかしたら皆様にとって新しい気付きの場所となるかも知れません。
その気付きは政治家としてはもとより、人として大きく変わるきっかけになるかも知れません。
次回、四国ブロック研修は自分を見つめ直す修身の場を提供できればと考えております。
文責:四国副ブロック長 井下泰憲
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