イベント報告

  • 2024.04.13
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北海道ブロック研修会(日程2024.4.8-9)文責:千葉一幸

文責:龍馬プロジェクト北海道ブロック長 千葉 一幸(稚内市議会議員)

【1日目】

北海道根室市「北方領土問題」をテーマに北海道ブロック研修会を開催しました。参加者は石川会長をはじめメンバー9名、未来の会員1名で、会場は、北方領土元島民の活動拠点として1964年に建設され、90年に千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)が国の補助を受けて建て替えた施設でおこないました。
千島会館外観

研修会の開会にあたり不破大仁拡大委員長より挨拶。

「元島民による島での生活、侵攻の記憶」と題し角鹿(つのか)泰司 氏(千島連盟根室支部長)の講話。元島民1世の86歳。歯舞群島の一つ勇留(ゆり)島出身、当時の世帯数は79世帯、人口502人、主力の漁業はサケ、マス、蟹(たらば)、タラ、スケソウダラなどであり、主に缶詰になっていたこと。昭和19年7月、幅約8キロの島に兵隊48名で戦車道を整備し万が一に備えていたこと、昭和20年7月15日、根室市への空襲は真っ赤に焼けていたこと等、元島民の方から当時の記憶を拝聴しました。

角鹿 泰司 氏

「プロジェクト・フラの真相」と題し谷内 紀夫 氏(根室市北方領土対策専門員)の講演。米国の対ソ連軍事支援プロジェクトの「プロジェクト・フラ」は、樺太や千島列島などへの上陸作戦を想定してソ連の太平洋艦隊を増強するための作戦。米国から哨戒フリゲート等149隻を移管。米国国立公文書館にある「HURA-2プロジェクト司令官の報告書」(全31ページ)には、「ソ連」という国名は出ていません。ソ連兵は「訪問乗組員」、士官は「上級訪問者」と表現され、米ソ共同の極秘作戦は秘匿性が高かったものと思料され、史実は「千島列島はソ連に引き渡されるべきである」(1943.10.5ルーズベルト大統領表明)、太平洋艦隊増強に必要な艦船と物資のリスト提出(1944.12.5プロジェクト・フラ)、米英ソ首脳がソ連の対日参戦の条件として南樺太の「返還」、千島列島の「引き渡し」などを密約(1945.2 ヤルタ会談)。「ソ連四島占領 米が援助」と報道されたのは20171230日が初めてでした。

谷内 紀夫 氏

休憩し後半講義に入る前に石川 勝会長よりご挨拶。

「日露の氷河期に何ができるか」と題し本間 浩昭 氏(毎日新聞社)の講演。

再び「氷河期」に入った日露関係の今までの経緯、「国境」「領土」とは、チャンスを逃した「間氷期」の外交、領土問題の淵源にあるもの、バッグキャスティングで考えてみる、来るべき「間氷期」に向けて、足を止めないための試案をお話いただきました。北方領土問題では少なくとも5回のチャンスがあった(ソ連崩壊など)。領土問題の事実、学校教育での取り扱い方、署名をするだけではなくこの問題の波紋を大きくしていくことが大事な点。尖閣問題や竹島問題を含め、ボーダーにある問題を国民全体で関心を高める必要性。世界遺産条約第11条3「2以上の国が主権又は管轄権を主張している領域内に存在を記載することは、その紛争の当事国の権利にいかなる影響をもたらすものではない」ことであり、「間氷期」の外交への試案を説かれました。

本間 浩昭 氏

「千島回線陸揚げ庫の保存の意味」と題し久保 浩昭 氏(千島回線陸揚げ庫保存会会長)の講演。氏は国後島ケラムイ地区出身の2世。根室国後間海底電信線陸揚施設は根室村ハッタラと国後島ケラムイ間を繋ぐ海底ケーブルの陸揚施設で明治時代に旧逓信省により設営、密漁船対策やソ連の東漸政策への対策として千島の警備強化が必要となり、通信連絡手段の確保のため、北海道本島から択捉島蘂取村までの電信線架設事業が明治二十九年から二ヶ年計画で実施。施設は「四島に日本人が住んでいた」ことを示す証拠、当時の姿を残す数少ない非常に貴重な建物であり、「北方領土が日本の領土」であることを国内外に発信していくため、平成25年から根室市が保存・整備を行ってきていたところ、2021年に国の登録有形文化財に登録。元島民は高齢化が進み、生の体験を聞けなくなる時期が迫っています。陸揚庫は、「物言わぬ語り部」、北方領土問題を国民全体で認識できるようこれからも活動される旨を話されました。

久保 浩昭 氏


女性部会 神谷部会長より謝辞

【2日目】
納沙布岬での記念撮影、北方四島交流センター「ニ・ホ・ロ」視察。

北方四島交流センター「ニ・ホ・ロ」視察

根室市長を表敬。

「北方領土問題」をテーマの開催に対し、「元島民、根室市民を勇気づける」と龍馬プロジェクト北海道ブロック研修会の開催を評価されました。ボーダーを国策で取組しなければ「問題」が置き去りになってしまう懸念、「北方領土問題」への取り組みについて意義ある1時間でした。


石垣 雅敏 根室市長

根室市での「北方領土問題」をテーマにした研修会、元島民から直接お話を聞けたこと、北方領土占領は米ソ極秘協力による史実、「北方領土が日本の領土」であることを国内外に発信していくため、国の登録有形文化財「陸揚げ庫」保存の経緯、根室市の「北方領土問題」への取り組み等、とても意義のある研修になりました。ご対応頂けた根室市の関係者皆さまには敬意と感謝の意を表します。

 

北海道新聞の地方版(道東)に記事掲載

責:龍馬プロジェクト北海道ブロック長 千葉 一幸

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