イベント報告

  • 2026.07.15
  • 九州・沖縄ブロック

九州・沖縄ブロック研修会(日程2026.7.13-14)文責:穴見 憲昭

 令和8年度の九州ブロックの研修会は、『宮崎県(都城市)における地方創生の取組み』と題し、大きく4項目勉強させていただきました。

 まず「都城フィロソフィ」は、地域の経営資源であるヒト・モノ・カネを最大限活用し、地域の発展に繋げるため、まずは人材育成から取り組むことを目的とし、職員に対し「フィロソフィ(哲学、考え方、人生観、価値観等々)」を育成する取組みでありました。

 民間ではフィロソフィを策定している企業等もありますが、自治体としては全国初の試みであり、今現在もまだ少ないようであります。

 具体的には現在の池田市長が就任後(H24)、市長の想いから「都城フィロソフィ」の策定に取り掛かる訳でありますが、民間企業への視察やセミナーへの参加、さらには策定委員会を立ち上げ、全職員に意見のヒアリング等を行い、策定が進んだとのことでした。

 テーマは「本気で挑戦!日本一の市役所!」とし、全体で2部、7章、30項目で構成され、あいさつや身だしなみ、仕事に対する姿勢などが盛り込まれていました。

 加えて「都城フィロソフィ手帳」なるものを作成し、全職員に配布、常に所持しているとのことでした。さらに、職員研修や唱和等を行うことによって、「作って終わり」ではなく「一人ひとりへの浸透」を図っている様子が窺えました。

 実際に、参加メンバー(ほぼ地方議員)は、各自地元の自治体と比べた際に、職員さんの対応等の違いを感じているようでもありました。

 まずはヒト(人材育成)を育て、モノ(組織内)を活性化させることで政策を推進する熱量を高め、カネ(戦略・結果)を生み出すという一連の流れが形成されていることが感じられました。

 次に「ふるさと納税制度の活用による稼げる地域づくり」についてですが、おそらくふるさと納税制度は全国全ての自治体が力を入れ、税収増を目的に寄附額の増を目指しているものと思われますが、都城市はふるさと納税制度を単なる寄附金確保の手段としてではなく、地域産業の振興や地域ブランドの向上、事業者育成など地域経済の活性化につなげているという点が印象的でした。

 都城市は、「肉と焼酎」を明確なブランドコンセプトとして掲げ、ふるさと納税を市の知名度向上と地域経済の発展に結び付けているとのことでした。返礼品を地域の強みに集中させた戦略的なブランディングや、効果的な広告展開により全国的な認知度を高め、ふるさと納税寄附額で全国トップクラスの実績を上げていました。

 また、行政と返礼品提供事業者が一体となった推進体制を構築していることが大きな特徴かと感じました。民間事業者で構成される「都城市ふるさと納税振興協議会」が設立され、事業者同士の連携、人材育成、新商品開発、地域PRなどを主体的に推進しており、行政は制度運営や支援を担うなど、それぞれの役割を明確に分担している様子が窺えました。

 さらに、制度の拡大だけでなく、返礼品の品質管理や法令遵守を徹底するため、返礼品提供事業者への立入調査を毎年度実施し、寄附者からの信頼確保にも努めているとのことでした。

 総括として都城市の取組は、ふるさと納税を「寄附を集める制度」ではなく、「地域を稼がせる仕組み」として位置付けている点が印象的でありました。

 特に、地域資源を絞り込んだブランド戦略は、全国に埋もれない自治体となるための重要な視点であり、行政の公平性だけでなく、地域全体の利益を見据えた戦略的な政策判断が成功につながっていると感じました。また、行政だけで事業を進めるのではなく、事業者が主体となって地域全体を盛り上げる体制づくりは、他都市においても参考となる取組であると感じました。

 一方で、制度を持続的に運営するためには、品質管理やコンプライアンスの徹底、寄附者との信頼関係の構築が不可欠であり、都城市が継続的に実施している管理体制は大変参考になりました。

 次に「都城市の人口戦略」についてですが、都城市に限らず全国的に、人口減少や少子高齢化が進行する中、人口減少対策を市政の最重要課題と位置付け、積極的な移住・定住施策を展開している自治体は多いと思います。

 都城市では、「10年後の人口増加」を目標に掲げ、人口対策課を中心として全庁横断的に人口減少対策を推進していました。移住・定住の促進だけでなく、結婚・出産・子育て支援、雇用の確保、住環境の整備などを一体的に進めることで、人口の社会増を目指しているとのことでした。さらに人口動態や移住実績などのデータを分析し、効果検証を行いながら施策を展開している点が特徴であったと思います。

 都城市では、移住希望者に対し、移住応援給付金をはじめ、お試し滞在制度、奨学金返還支援、就職・住まい探しの支援など、多様な支援制度を整備しているとのことでした。また、移住相談から定住までをワンストップで支援する体制を構築し、移住後のフォローにも力を入れているようでした。さらに、都市圏での移住相談会や情報発信を積極的に実施し、都城市の魅力を効果的にPRしているとのことでした。都城市の取組で特に印象的であったのは、人口減少対策を単独の移住施策としてではなく、雇用、住宅、子育て、教育などを含めた総合的な人口戦略として推進している点であるかと思います。また、移住者への経済的支援だけでなく、移住前から移住後まで切れ目のないサポート体制を整備し、安心して定住できる環境づくりに取り組んでいることが成果につながっていると感じました。さらに、施策の効果をデータに基づいて検証し、必要に応じて制度を見直すPDCAサイクルを実践していることは他の自治体としても参考にする必要があるかと感じました。

 最後に(2日目)「スノーピーク都城キャンプフィールド」を視察させていただきました。ここは、官民連携によるアウトドア施設の整備・運営し、観光促進や交流人口・関係人口の創出、地域経済の活性化に向けた取組みを行っていました。

 スノーピーク都城キャンプフィールドは、市とアウトドアメーカーである株式会社スノーピークが連携して整備・運営するキャンプ施設であります。豊かな自然環境を活かしながら、高品質なキャンプサイトや宿泊施設、ショップなどを備え、初心者から経験者まで幅広い利用者が快適にアウトドアを楽しめる環境が整備されていました。施設運営では、単なるキャンプ場としてではなく、地域の魅力を発信する拠点として位置付けられており、地域食材を活用したイベントや体験プログラム、地元事業者との連携による商品販売など、地域経済への波及効果を意識した取組が進められています。

 また、指定管理や民間事業者のノウハウを活用することで、利用者ニーズに対応したサービスの提供や、効率的な施設運営を実現している点も特徴だと感じます。視察を通じて感じたのは、行政が施設を整備するだけではなく、民間事業者のブランド力や企画力、運営ノウハウを最大限に活用することで、高い集客力と利用者満足度を実現していることであったかと思います。また、施設そのものが目的地となるだけでなく、市内の観光施設や飲食店、農産物などとの連携により、市全体への経済効果を生み出す仕組みづくりが行われていたことは大変参考になりました。さらに、キャンプやアウトドアを通じて地域の魅力を体験してもらい、リピーターや関係人口の創出につなげる考え方は、人口減少時代における地域活性化の重要な視点であると感じました。これは自治体の特徴にも依るところが大きいかと思いますが、官民連携による観光施設の整備・運営手法の検討や、地域資源を活用した体験型観光コンテンツの充実、民間事業者のノウハウを活かした施設運営などは参考になるかと思います。

文責:龍馬プロジェクト九州ブロック長 穴見 憲昭