龍馬プロジェクト 中国視察 (2012.2.9-12開催) 文責: 神谷宗幣(龍馬プロジェクト会長)
今回の中国訪問は、龍馬プロジェクトの正式な視察ではなく任意での参加募集でしたが、多くのメンバーが
集まり充実した視察となりました。
視察の目的は、中国の経済、教育、報道などの情報をメディアを通してではなく、自分たちの目と耳で
確かめることでした。
まず、義烏の福田市場を訪れましたが、8万件の卸市場は巨大で、製品の価格は恐ろしく安いのです。
日本の100円ショップが買い付けに来るのもよくわかります。
しかし、世界中のバイヤーが訪れる町も世界経済の停滞の下、
勢いといったものはそれほど感じませんでした。
大量生産、大量消費で世界経済が回ってこその市場なのでしょう。
もはや日本は同じやり方では対打ちできないことを実感しました。
続いて、義烏近郊の芸術学校と小学校を訪問しました。私にとっては今回のメインともいえる視察です。
芸術学校では、音楽やダンス、書道などを専門的に勉強しているのですが、
小学生でもそのレベルは目を見張るものがありました。
子供の可能性は無限なのですね。現在の日本の均一化された、受験のための学校の勉強が子供たちの才能を
殺しているのではないかと感じるほどでした
(日本でも鹿児島の横峰保育園などでは、自学自習でものすごい才能を開花させています)。
中国とは人口の違いがありますが、日本も一部では義務教育の過程でも専門性のある学習をさせるべきでは
ないでしょうか。
一般の小学校では、学校の先生方との意見交換をさせて頂きました。
先生方の日本の学生に対するイメージはまじめで礼儀正しいというもので、
そうした素養を中国の子供にどうしたら身につけさせられるかをしきりに聞いておられました。
我々の方からは、反日的な教育は行われていないのかといった突っ込んだ質問もさせていただきましたが、
その点については明確なお答えが聞けませんでした。
しかし、先生方との会話の中からは、日本の優れたところを交流などを通して学んでいきたいという
強い思いが感じられ、政治的な話ではなく、個人間の信頼関係の中で、今後の交流の橋渡しができればいいな
と感じる意見交換でした。
上海では、上海に赴任しておられる日本のメディア関係者との意見交換や、
日本領事館やジェトロからのヒアリング、上海で活躍する日本人経営者との意見交換の機会を頂きました。
メディアの方との意見交換では、中国版Twitterのウェイボーの影響などで政府の情報統制が
乱れていることや、歴史教育の影響などで日本=悪玉の印象は国民の中にあるものの、日本のサブカルチャー
の影響や震災後の日本人の対応の情報の広がりで、日本に親近感をもつ人も増えてきていることを様々な例を
挙げて教えて頂きました。
日本領事館やジェトロの皆さんには、詳細なデータに基づく中国経済の成長とその裏にある社会問題を
教えて頂きました。
中国経済は失速気味なのかと感じていましたが、内陸部の成長も著しくまだまだその勢いの強いことを
再認識しました。
また、上海で活躍する経営者の皆さんは、非常にたくましく厳しい中国市場で活躍しておられる様子が聞け、
同じ日本人としての誇りを感じました。日本人は交渉下手で、競争力がない、、なんていわれますが、
海外で活躍しておられる方々はやはりパワーがあります。こうした人材をどんどんと輩出できる教育を
行っていきたいと切に感じました。
日本にいるとどうしても中国のネガティブな情報を聞くことが多かったのですが、
やはり百聞は一見にしかず、現地に行って生の現場を見て、声を聴くことで、
中国という国への理解が深まりました。
お人よしもいけませんが、いがみ合うだけでもいけません。お互いの長所、短所を理解しあいながら、
今後も付き合っていかなければならない隣人です。
龍馬プロジェクトのメンバーや若い経営者の皆さんと視察に行けたことは非常に有意義でした。
お金も時間も労力もかかりますが、今後も継続して、諸外国を訪れ、大きな視点で日本や地域の政治を
考えていきたいと意を強くした視察でした。
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