11/22、龍馬プロジェクト全国会の関東ブロック研修を行いました。
今回の研修は、地方自治体・議員と自衛隊との連携・協力体制構築について考える機会にしたいと思い、組んだものです。
・自衛隊の組織維持に欠かせない採用活動・退職後の待遇、予備自衛官・即応自衛官などの仕組みなどの現状(防衛省での視察、講義)
・実際に自治体で活躍する自衛隊経験者の活用(豊島区危機管理監の講義)
・国防についての現状と展望(元陸将の講義)
まずは防衛省の市ヶ谷地区の見学ツアーに参加。
儀仗広場、市ヶ谷記念館などを見学。
市ヶ谷記念館は、解体された旧1号館の象徴的な部分を可能な限り移設・復元した施設。
館内には、極東国際軍事裁判(東京裁判)の法廷として使用された大講堂
旧便殿の間(陛下のご休憩所)、旧陸軍大臣室など。
その後、ツアーを離脱して、防衛省の施設内で研修。
<東京都内防災関係部局への退職自衛官採用について>
・自治体での防災、危機管理監等での役割、採用状況など
・地域防災マネージャー制度を活用し、特別交付税措置が取られるという財源面のメリットの説明あり
<退職自衛官の雇用について>
・民間企業への再就職の制度など。
・即応予備自衛官、予備自衛官を雇用する企業には、給付金の制度あり。
<予備自衛官制度について>
・予備自衛官、即応予備自衛官、予備自衛官補、の制度の説明
<自衛官募集等の推進について>
・防衛大臣名で各自治体首長へ、自衛官募集等の推進についての依頼文が送付されている(全国の自治体)
募集対象者情報の提出、募集対象者情報の提出以外の募集事務の実施
入隊予定者激励会開催及び若年退職自衛官の防災関係部門での活用、など。
こういった制度面の情報を得ておくことは大事です。
防災、危機管理のプロとして、自衛隊経験者は自治体での活躍の場が多くあります。
自衛官募集等の推進などは自治体側から自衛隊へ協力が出来るものです。
退職自衛官の方を採用したい民間企業も当然あるので、雇用の制度や予備自衛官制度などについては、今後も周知のお手伝いをしたいです。
市ヶ谷での研修を終え、池袋へ移動。
新区民センターの会議室で勉強会を行いました。
1人目の講師は、豊島区の今浦勇紀危機管理監。
*****講師略歴*****
昭和33年(1958年)生まれ、山口県出身。元陸上自衛隊陸将補
第8師団(熊本)副師団長、関西補給処長、陸上自衛隊化学学校長など歴任。
第2次イラク復興業務支援群長としてサマワに派遣。
モザンビーク国連平和維持活動(PKO)派遣中隊長などを歴任し
福島第1原発事故での災害派遣の現場指揮官も務めた。
平成27年(2015年)12月退官。
平成28年(2016年)1月、豊島区危機管理監に就任、現在に至る。
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豊富な経験を豊島区の防災、危機管理体制構築のために活かして下さっています。
・防災訓練などの訓練の整理と体系化(総合訓練、機能別訓練、合同・地域防災訓練)
・物流体制構築(防災公園の荷捌き、備蓄物資の整理と倉庫整備。3日分の備蓄(R5年に完了)、液体ミルク備蓄試行なども)
・断水対策(4つのエリアに分けて対策、給水の具体的な想定、給水車の配備)
・テロ対策(放火テロ、車両テロ、爆弾テロの想定。危険エリアの想定など)
今浦危機管理監が就任後、格段に豊島区の防災力が充実し、危機管理能力が向上しています。
先日の台風19号に際しても、当日の対応のみならず事後の収穫と反省点について直ぐにまとめ上げ、次への対策を手早く議会へ報告するという手際の良さを披露して下さいました。
議会側からも提言や情報提供を行いながら、更なる防災力、危機管理能力向上を図っていきたいです。
豊島区の事例は自衛隊経験者の知見が存分に活かされている好例だと思います。
2人目の講師は、福山隆元陸将
*****講師略歴*****
昭和22(1947)年、長崎県上五島・宇久島生まれ。
元陸上自衛隊陸将・元西部方面総監部幕僚長・元韓国防衛駐在官。
第32普通科連隊長(地下鉄サリン事件時、除染隊派遣の指揮を執る)
情報本部初代画像部長(人工衛星情報)、第11師団(札幌)副師団長
富士教導団長、九州補給処長などを歴任し
平成17年(2005)年、西部方面総監部幕僚長・陸将で退官。
退官後、ハーバード大学アジアセンター上級客員研究員
ダイコー㈱常務を経て、現在は颯心会、広洋産業㈱
アサヒロジスティクス㈱顧問。
著書は『「地下鉄サリン事件」戦記』『防衛駐在官という任務』
『最新軍事理論で読み解く桶狭間の戦い』等13冊(共著含む)。
近著は『軍事的視点で読み解く米中経済戦争』(ワニブックスPLUS新書)
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演題は「軍事的視点で読み解く米中経済戦争」
福山先生の近著の内容をかいつまんでお話し頂きました。
現状の徹底分析、それに対する考え得る想定を全て検討する
というやり方をどのような場面でも行っておられます。
・米中経済戦争は双方が我慢比べをしているような状態。
米の勝利、中の勝利、双方痛み分け、共存、思わぬ国の台頭、など色々な想定が考えられる。
・日本はかつて海洋で囲まれているという利点があったが、今はそれを飛び越えて攻撃を受ける可能性がある。
米中ロの狭間で日本がどのように生き残るのか、という視点。
米中ロがどのような構図で対立するか、又は共存するか、結果はどうなるか、をケース毎に想定。
90分程度の講義の中に、色々な要素が盛り込まれていました。
福山先生、今浦危機管理監のお二方に共通して感じたのは、現状分析をしっかりとやった後に出来得る限りの想定をしておく、という基本的な考え方です。
危機管理のスペシャリストとしては当たり前の発想なのかもしれませんが、それを徹底して落とし込んでいる凄さを感じました。
田口佳史先生によると、東洋思想の基本的な思考法は、「根源的か」「長期的か」「多様性があるか」の3点だとのことです。
根源、長期、多様を実践に落とし込む考え方こそが、危機管理においても欠かせないものであるということだと理解しました。
私自身、この考え方を肝に銘じて自らに叩き込みたいです。
神谷会長からは、知行合一の話しがありました。
研修で学べてよかった、で終わっては何もならない。
どのような実践をするかが重要であるとの事。全く仰る通りです。
研修後に行った懇親会にも両先生にご参加頂き、議論を深めることができました。
研修で得た知見を今後の活動に活かしていく所存です。
文責:関東ブロック長 細川正博 《豊島区議会議員》
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